(南牧) 早春の線ヶ滝を訪ねて

(2017年3月14日)

線ヶ滝

 西毛地域の最も西側にある甘楽郡南牧村。その山の中、星尾地区に「線ヶ滝」(群馬県指定天然記念物及び名勝)がある。

 3月のこの時期に、早春の線ヶ滝を訪ねてみた。雪解けのあと、草木の葉が茂るまでのこの時期は、滝本体やそのまわりの岩の様子がよく見えるので、滝の本来の姿がよく見える時期だ。線ヶ滝は駐車場から近く、歩く距離も短いので、ちょっと気分転換に、早春の滝の様子を見に行ってみてはどうだろうか。

 南牧村は、高崎市中心部からでも車で1時間半ほど。道の駅「オアシスなんもく」を過ぎて、県道93号(下仁田臼田線)を9kmほど進むと、「南牧村民俗資料館」が見える。橋を渡ったところを右折して県道201号(星尾羽沢線)に入り、さらに4kmほど進むと線ヶ滝に到着する。道標や大日如来像、東屋などが見えるが、もう100mほど先に駐車場がある。

 滝壺への通路は急傾斜なので、歩きやすい靴が必要だ。途中にはらせん階段も整備されているが、滝壺付近ははしごのような急な階段だ。滝壺付近の岩場は平らなので、少し歩き回れるようになっている。

滝壺への道標

滝壺への通路

 

線ヶ滝の滝壺

 線ヶ滝は35mほどの高さがあるが、岩に沿って落ちているので飛沫や轟音は少なく、比較的静かな滝だ。しかし、線ヶ滝という名前の通り、細くひたすら一直線に落ちる滝はとても美しく、静かながら迫力がある。

 滝壺からすぐに水が岩の隙間を通って流れ出して、深い渓谷を刻んでいる。見上げると、大きな岩がせり出しており、自分が壺の中にいるような感覚さえ覚えた。

 案内板によると、この線ヶ滝は別名仙ヶ滝とも言うそうだ。この地に住んでいたお仙という絶世の美しい娘が、姑に叱られて滝上から飛び込み入水し、その後、毎夜丑三つ時になるとお仙のすすり泣きが聞こえるとの伝説が残っているとのこと。

 滝壺への入口に戻ると、通りがかった地元の男性が、大日如来像の賽銭箱が賽銭泥棒に壊されてしまったと教えてくれた。向かいの神社の入口で、賽銭箱の残骸が土留めとして使われているが、壊したときの鋭い傷跡が残っていた。こんな山奥でも、心ない人もいるものだ。

向かいの神社の階段下にある土留め

 なお、滝壺に降りる歩道は急斜面で、手すりなどをつかまなければ危険な場所もあるため、両手を自由にしておこう。

【行き方】
 自動車の場合は上信越自動車道下仁田ICから、県道45号(下仁田上野線)、県道93号(下仁田臼田線)を通り、南牧村民俗資料館の手前を右折して県道201号(星尾羽沢線)を上る。およそ30分。
 公共交通の場合は、上信電鉄下仁田駅から南牧ふれあいバスで羽根沢下車、県道201号(星尾羽沢線)を約4km上る。


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