南牧村の六車八木節を踊ってみませんか
南牧村六車(むくるま)地区にある六車八木節保存会では、村に伝わる独特の八木節を継承させるため、なんもく大学と共同で村の内外から踊り手の募集を始めた。よく知られている桐生の八木節とはちょっと違った味わいを持つ六車八木節。踊りの好きな方は、試しに参加してみてはどうだろうか。
歴史ある六車八木節の伝承を
六車八木節は、100年以上の伝統があると言われている。公式な記録はなく、始まった時期や経緯は明らかではないが、保存会の皆さんが知る限りでは、遅くとも1953年には存在していたようだ。当時は(合併前の月形村)村内の各集落で、青年団などを中心に踊られていたという。
(公財)群馬県教育文化事業団が公開しているぐんま地域文化マップによると、群馬県内で八木節の保存を行っている登録伝承団体は23団体、その中で最も西にあるものが富岡市妙義町の団体(ただし、六車八木節保存会は含まれていない)。南牧村はそれよりも西にあるので、六車八木節は群馬県最西端の八木節といえるかもしれない。
しかし、過疎と高齢化が進んだことで、次第に踊る集落が減少し、担い手も確保できなくなってきたため、一時は途絶えてしまった。これを継承したのが六車八木節保存会だ。
その六車八木節保存会も、すでに会員の高齢化が進んでおり、過疎が進む村内から後継者を探してもなかなか見つからない状態になっていた。最近になって、地域おこし協力隊として南牧村に移住してきた2名の若者が加わったが、さらに継承していくにはまだ厳しい状況。そこで、なんもく大学に協力を求め、新たな担い手探しを行うことになった。
六車八木節とは
六車八木節は、酒樽を利用した太鼓と笛、鼓、鉦によるお囃子に乗って歌い、それに合わせて踊るという点では、他の地域の八木節と同様。歌詞も国定忠治の物語を中心としたもので、他の地域の八木節とほぼ共通になっている(南牧村向けの替え歌も作られている)。
しかし、踊り手は桐生では輪になって踊るのに対し、六車八木節では踊り手がお囃子の前に並んで、花笠、手ぬぐい、花輪を持ち換えながら踊る。振り付けも、笠を背負ったり、かぶったり、回したり、手ぬぐいを突き出したり、回したりと、複雑な踊りが続く。それに合わせてか、お囃子もややゆったりとした速さで演奏される。
六車八木節保存会では、この八木節を存続させるために様々な工夫をしてきた。太鼓に使う酒樽は、選挙の鏡割りで使い終わったものを貰ってきて使っており、花輪も別な目的のものを流用している。
踊りの好きな人はぜひ参加を
現在、保存会は10余名で活動している。八木節はふるさと祭り(8月14日)、秋祭り(平成29年は9月3日)などで披露しているほか、老人ホームを訪問して演じる活動も行っている。練習は行事の直前を除けば月1回程度。衣装や楽器などは、保存会が保有しているものを貸与される。
ここでしか体験できない伝統の八木節。我こそはと思った人は是非、なんもく大学(Facebook)または当サイトのお問い合わせまでご連絡いただきたい。
(取材・文・写真/藤本 理弘)