(安中) 県内初のラウンドアバウトが登場

(2018年10月16日)

 県内初のラウンドアバウト(環状交差点)が、2018年9月26日に安中榛名駅前の「安中榛名駅入口」交差点に設置された。今回は社会実験の位置づけで設置されたものだが、信号待ちもなくなり評判は上々のようだ。安全性も向上するというラウンドアバウト。ラウンドアバウトの利用方法を含めて紹介しよう。

ラウンドアバウトとは

 皆さんはラウンドアバウト(環状交差点)をご存知だろうか。交差点の中央部分に環状で一方通行の道路あり、車が交差点の中を回転することで任意の方向に進むことができるという、新しいタイプの交差点だ。1960年代にイギリスで開発されたものだが、日本では2013年(平成25年)の道路交通法改正により、長野県飯田市で初めて導入された。

 ラウンドアバウトでは、交差点の中央部分に島があり、それを囲むように一方通行の環状道路が設置されている。交差点を通過する車は、どの方向に向かう場合でも(正面の道路に抜ける場合でも)左折で交差点に進入する。進入するときには必ずしも一時停止をする必要はないが、ラウンドアバウト内を走っている車があれば、そちらが優先なので常に道を譲らなければならない。そして、ラウンドアバウト内を回りながら行き先の道路の前に行き、左折で抜けるようになっている。

 このようにすることで、信号待ちや(すいていれば)一時停止の必要がないし、右折の必要がないため事故も少ないなど、メリットが多い方式だ。

 そのような中、安中榛名駅入口交差点は、群馬県初のラウンドアバウトして設置されたのである。現在は社会実験の位置づけであるため、信号機は残したまま機能を停止させてカバーを掛け、仮設の交通島を設け、道路標示を変更してラウンドアバウトを実現した。

ラウンドアバウトを通る

 ラウンドアバウトはどのように通るのだろうか。倉渕・下室田方面から交差点に進入し、安中榛名駅方面に抜けてみた。従来の交差点では右折の方向であり、信号が赤だった場合は信号待ちが必要だったところだ。

※写真は車で通り抜けたときの通行経路を再現するように、歩道から撮影し直したもの。

ラウンドアバウトの入口。「止まれ」ではなく「ゆずれ」と標示されている。
ラウンドアバウト内を走る車が優先だが、一時停止はしなくても良い。
ラウンドアバウトには左折で入る。右から来る車に注意しよう。
ラウンドアバウト内をゆっくり回りながら、看板を頼りに出口を探す。
看板に従ってラウンドアバウトを出る。高速道路の分岐のような要領で、スムーズに通り抜けることができた。

 このように、従来の交差点では右折に相当する方向であったが、一時停止することなく左折でラウンドアバウトに入り、左回りに3/4ほど回って、目的の方向に左折で出た。ラウンドアバウト内のカーブも思ったよりきつくなく、ほんの数秒で通過することができた。これは、直接右折をする場合と比べても大差なく、信号待ちの時間を考えると、以前よりもスムーズに通過できるようになったように思える。
 また、ラウンドアバウト内では右折がなく、対向車もないので、何となく気が楽だった。実際、海外の調査によれば、ラウンドアバウトの導入によって事故も減少する傾向があるという。

 撮影のためにしばらく現場にいた間にも、何台もの車がラウンドアバウトを通過して行った。多くの車は何事もなくラウンドアバウトを通過して行ったが、中には困ったようにラウンドアバウトの中を何回か回っている車も見られた。出口を示す看板などにはもう少し工夫の余地があるのかもしれない。

 どちらにせよ、利便性と安全性を兼ね備えたラウンドアバウト。今後も適切な場所に普及していくことを期待したい。

(取材・文/藤本 理弘)


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